何で空は青いの?レイリー散乱で一面に広がる青!

わかる!科学

「何で空は青いの?」という小さな子供の素朴な疑問。パッと答えられる人は相当な科学好きだと思います。あまりに当たり前すぎて疑問にさえ思いませんが、無邪気に「どうして?」と聞かれて初めて知らなかったことを思い知らされます。当たり前の中に潜む疑問。発見して初めて自分が知らなかったことを知る。つまり、ソクラテスのいう「無知の知」を思い知る瞬間です。学問はそこから始まるのです。

物に色がついているということを私たちは経験で知っています。その経験から、空が青い理由をいくつか思いつくかもしれません。それを「仮説」と言います。例えば、青い色素が溶けた水は青い水になります。同じように、空に青い物質が混ざっていれば青くなるはずです。この仮説は正しいのでしょうか?

空を覆う大気の成分はよく知られています。一番多いのが窒素で78%、次が酸素で21%、アルゴン0.9%、二酸化炭素0.09%の順に割合が減ります。これらの主成分の中に青い気体はあるのでしょうか?実はありません。ただ、地表を紫外線から守っているオゾン層の成分である「オゾン」は酸素原子からできていて、薄い青をしています。しかし、オゾン層が破壊された北極や南極の空も青いことから、空の青さの原因はオゾンではないことがわかります。

他にも、「海の青さが空に反映している」とか「空気中に水分が含まれるから」とか、「宇宙が濃い青だから」などといった仮説が考えられますが、内陸部や乾燥地でも空は青く、宇宙の星がないところは完全な黒だということが分かれば、違うということがわかります。

空が青い理由はレイリー散乱

では、どのような説明が正しいのでしょうか?科学的に正しそうなのは、レイリー散乱による説です。日光に含まれる多くの色の光のうち、青色が多く散乱して空いっぱいに広がるというものです。例えるなら、青い光だけ拡散する曇りガラスを通して光を見ているようなものです。

光ってなんだろう?

それを理解するために、まず、色を生み出す「光」がどのようなものなのかを説明したいと思います。光の正体は、光子という粒子です。しかし、この粒子は何もない真空中でも波打つ性格があります。光は波と粒子の両方の特性を持つのです。光に色をつけているのは、この波としての特徴です。

光は、厳密には可視光と呼ばれますが、電磁波の仲間です。電磁波の仲間には、電波、マイクロ波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線があります。これらの違いは、波の長さ「波長」の大小によります。可視光もまた、波長の違いによって、様々な色に分かれます。波長が長くなれば赤っぽく、波長が短くなれば青っぽくなります。虹はすべての波長の光が、雨粒のプリズムによって分かれて並んだものです。虹の色は、赤、オレンジ、黄色、緑、水色、青、紫で順に波長が短くなっています。

光が物質にあたったときの反応

光は、その波長の違いによって他の物質にぶつかった時の反応が変わります。光と物質の相互作用の仕方は、4つあります。「吸収」、「透過」、「反射」、「散乱」です。物に色が着いて見えるのは、波長によって物質と光の相互作用が様々に変化するからです。「吸収」ですべての波長の光が物質に熱として取り込まれると、出てくる光がありませんから、黒くなるといった感じです。

レイリー散乱で青い光が空中に広がる!

レイリー散乱では、大気中の窒素や酸素といった光の波長よりも小さな微粒子と青い光の間で散乱が起こっています。「散乱」とは、光が物質に吸収されると同時に、四方八方へ放射されることです。ホースの噴出口をふさぐと水が四方八方へ広がるようなものです。他の色の光でも散乱は起きるのですが、波長の短い青の散乱が多く目立つのです。

Photo credit: Cayusa on Visualhunt / CC BY-NC

実は、青よりも波長の短い紫はもっと散乱しています。なので本当は、空は紫に見えても良いはずです。そうなっていないのには訳があります。いくつか説はあるのですが、その中の一つを説明します。

空が紫に見えないのは目の性質のせい

禅問答には次のようなものがあります「誰もいない森の中で木が倒れました。音はなったのでしょうか?」答えは、ノーです。音を聞く観測者がいなければ、音波は出ているのですが、「音」という知覚現象は起きません。色も同じです。

私達の目が色を感じるのは、目の中にある視細胞のお陰です。色を感じるのは錐体細胞と呼ばれる細胞によってです。錐体細胞には、赤、緑、青の3種類の色を感知するものがあります。すべての色はこの3種類の視細胞によって作られるのです。空が青く見えるのは、錐体細胞の色への感度の違いによるものだと言います。紫に対する感度が、青に対する感度の10分の1しかないのです。

夕焼けが赤いのはなぜ?

空が青い理由はわかりました。しかし、空はいつでも青い訳じゃありません。夕暮れ時には真っ赤に染まります。なぜでしょう。真昼の日光が私たちに届くまでに大気を横断する距離は短くて済みます。真上から降り注ぐからです。しかし、夕暮れ時、太陽は西の空へと傾いています。真横から私達の目に届くには、大気の層を長く横断しなければなりません。厚い大気の層を貫通できる色の光は、波長の長い赤い光だけです。なので、夕暮れ時は赤く染まるのです。他の短い波長の光は途中で散乱し私達の目まで届かないのです。

他の天体の空の色は?

空が青く、夕暮れには赤く染まるのは大気のおかげだとわかりました。では、他の天体の空は何色なんでしょうか?現在、探査機や着陸船が地表に到達できた天体は、月、金星、火星、タイタン、小惑星、彗星です。そのうち、金星の探査機は古く撮影データがありません。大気のない月や小惑星、彗星から見た空は、真っ暗です。太陽が写っていたとしても、明るいのは太陽のある場所だけです。大気による散乱がないためそうなります。大気のある火星やタイタンだと話は異なります。

火星の空は何色?

火星に送り込まれた複数の探査ローバーによる映像から、火星の空は、大気が澄んでいるときは青色で、埃が舞っているときはピンクであることがわかりました。面白いのは、夕暮れの空です。火星では夕暮れが青いんです。大気が薄く、波長の短い光が届くため青い夕焼けを見ることが出来るのです。タイタンの空は写真で見た感じオレンジでした。大気中に重い有機物が存在するのがその理由かもしれません。

火星のクレーターから撮った写真
Photo credit: sjrankin on Visualhunt.com / CC BY-NC

僕は青い空を眺めると爽やかな気分になるので大好きです。青は大好きな色でもあるのですが、それは空の色だからかもしれません。もし、地球の大気がもっと厚かったら空は青くなかったでしょう。火山噴火で塵が舞ってた太古の空も青くなかったかもしれません。もし、空の色が違っていたら、好みの色も変わっていたのかな?などと考えてしまいます。

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