血液型とは血液についている抗原の違いで輸血の際重要となります。性格とは全く関係がありません
初対面の人の性格を言い当てる目的で血液型が使われたりしますが、そもそも血液型と性格には全く関係性がありません。几帳面なB型の人は山ほどいるのですが、珍しいなどと言って例外扱いすることで、不都合な事実から目をそむけることで成り立っているエセ科学です。
では、そもそも血液型ってなんなんでしょうか?色んな人の血液をとってきて見比べても違いのない赤い液体にしか見えません。しかし、顕微鏡でのぞいてみると、血液の中に球体やドーナツ型の物体が浮かんでいるのが見えます。
もっと倍率あげてその物体、血球や血小板の表面を見ると、たくさんの物質で覆われているのに気づくでしょう。それらの中には抗原と呼ばれる物質があり、人々の間で異なることがあります。この抗原の違いが血液型の違いを生み出すのです。
あなたの血液型はありふれたものでしょうか?それとも希少なもの?あなたの血液型は輸血が必要な多くの人を助けられるスーパーな血液型かもしれません。それとも血液型が完全に一致した人にしか助けられられないかも?それは、あなたの血液にある抗原によって決まるのです。
歴史上の医学的な謎
1900年代の始め頃は、ケガをして多くの血液を失った人がいた場合、お医者さんは献血してもらった他の人の血液を輸血していました。しかし、ときには輸血を必要とした患者が、輸血によってもっとひどい状態になるということが起こっていました。そして、お医者さんにはその理由がわかりませんでした。
当時の科学者は、血液が人によって異なっているということを知らず、血液はすべて同じものだと推測していました。そこで、輸血した時に何が起こっているのかを調べるための実験が行われました。
科学者カール・ラントシュタイナーは、実験で別々の人から集めた血液の内容物を混ぜ合わせて何が起こるのか調べました。すると、ある血液を組み合わせた場合に、血液がネバネバと固まり、ある組み合わせでは固まらないことを発見したのです。ラントシュタイナーは血液型を発見したことで、ノーベル賞をもらいました。
さらなる実験で、血液はAとB、Oからなる3つのグループに分けられることがわかりました。どの組み合わせが輸血で害を及ぼすのかが、これらのグループ分けによって明らかになりました。
血液が固まるのは、抗原に抗体がくっつく抗原抗体反応が起こるからです。A型の人はA型の抗体は持たずB型の抗体を持つので、B型の血液を固まらせます。O型の血液は抗原を持たないため、抗原抗体反応をどのような組み合わせでもおこしません。
あなたはスーパードナー?
あなたの血液にある抗原は、両親からの遺伝によって決まります。血液検査によって、あなたの血液型がA型、B型、AB型あるいはO型のいずれかであるかを知ることができます。
血液型にはABOによるもの以外にも、D抗原によるRh型があります。D抗原を持つ人はRhプラス型であり、ない人はRhマイナス型です。
あなたの血液型は何型ですか?血液型が重要なのは、例えば、もしあなたの血液がプラス型であり、マイナス型の患者に輸血された場合、患者の免疫系があなたのD抗原を持つ血液を攻撃するからです。もしあなたの血液型がOマイナスであれば、あなたはスーパードナーです。あなたの血液は誰に対してでも輸血できます。抗原がまったくないからです。
Rhマイナスの血液型はまれです。100人中14人しかこの型を持つ人はいません。ABマイナス型が最も数が少なく、アメリカでは1000人に6人しかいません。
血液型について、科学者たちはよく知っていますが、なぜ血液型が存在するのか?その理由は現在も研究中です。
例えば、異なる血液型では病気に対する反応が異なることが示されています。マラリアにかかった時、血液が塊になって健康問題を引き起こすことが、O型では少ないことがわかっています。そのためマラリアの多い熱帯地方ではO型の人の割合が高くなっています。
血液型の違いは血液が持っている抗原の違いです。血液型は輸血の際に重要となります。占いで言われるような性格を決める因子では断じてありません。とはいえ、初対面の人などとのコミュニケーションの道具と割り切って利用するのは悪いことだとは思いません。ただ、血液型占いは日本独自のものなので、海外の方に話すとぽかんとされるので注意です。
参考記事: The Conversation
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