太陽系の惑星は、太陽によって温められます。私達の地球は、太陽から1億6千万キロメートル離れた、生命に適した完全な温度をもたらす距離にあります。
距離が大事なら、太陽系で最も冷たい惑星は、暖かな太陽から最も離れた場所にある、海王星になるのでは、とあなたは考えたかも知れませんね。海王星は、太陽から48億キロと、驚くほど遠くにあります。
しかし、最も冷たい惑星は、海王星ではなく、海王星よりも16億キロほど太陽に近い天王星です。天王星では、これまでに太陽系内で記録された中で最も冷たい、−224℃という記録を持っています。海王星もとても冷たく、通常−214℃程度ではあるのですが、天王星には及びません。
横向きの衝撃
天王星がこれほど冷たい原因は、太陽からの距離とは関係ありません。数十億年前、巨大ななにかが天王星に衝突し、その巨大な力によって、惑星は横向きになってしまいました。天王星は今でも、太陽の周りを横向きのまま周っています。衝突の衝撃はまた、天王星内部に閉じ込められていた熱を放出させました。惑星内部の熱は、惑星が形成された際に生じた熱のなごりです。惑星は、塊同士がぶつかり合うことで、何百万年もかけて少しずつ大きくなることで作られました。塊同士がぶつかり合うたびに、惑星は少しづつ熱を帯びます。拍手を長い時間続けると、手のひらが熱くなりますが、同じことが、惑星でも起きたのです。
海王星は、天王星みたいに大きな小惑星による衝突には見舞われませんでした。そのため、多くの熱が閉じ込められたままになっています。
もっと太陽に近い惑星である、水星も非常に冷たくなることがあると知れば、驚くかも知れませんね。水星が太陽に面している側の温度は400℃以上なのですが、太陽と反対側は、−200℃近くになります。
その理由は、水星が地球のような大気を持たないからです。地球の大気は、毛布のような役割をしていて、熱を閉じ込めて外に逃さないようにします。水星はこの毛布を持たないので、太陽側と反対側で、真逆の温度になるのです。
宇宙の温度を測る
火星のような近くの惑星では、探査機を送り込んで惑星の表面から直接、大気を研究することができます。しかし、海王星や天王星のような遠くの惑星で、同じことはできていません。
代わりに、どれだけ冷たいのかを調べるには、地球上から温度を測る必要があります。実際には、惑星からくる光を研究しています。すると、惑星の大気を形作っている原子や分子の種類がわかります。その情報から、惑星の温度がどれほどなのか、正確に知ることができます。原子や分子は、惑星における温度の指紋のような働きをスルのです。
太陽系のこれまで見てきた惑星はすごく冷たいのですが、宇宙にはもっと冷たい場所もあります。宇宙で最も冷たい場所は、雲とちりからできた地球から5000光年も離れた、ブーメラン星雲です。その温度は、-272℃になります。
宇宙で最も冷たい温度は-273℃で、これよりも冷たいものは有りません。というのも、この温度まで下がると、粒子も原子もすべてが動きを止めてしまい、そうなると、それ以下に温度を下げることができなくなります。こうした温度のことを絶対零度といいます。つまり、宇宙の中でも、ブーメラン星雲よりも冷たい場所が見つかる可能性は殆どないということです。
太陽に近いほど多くの熱をもらえるので、熱くなるのは当然ですが、地下に閉じ込められた地熱と、熱を平均化する大気の働きも計算に入れないと、本当の温度はわからないようです。天王星は地軸が横向きなので、太陽光の当たらない部分が多くでき、巨大隕石の衝突の際に、地熱を失ってしまったので、冷たくなるのですね。
参考記事: The Conversation
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