光速の1%以上で飛行する人工物って作れるの?

光の速度 わかる!科学

光は速く進みます。光は存在するすべてのものの中で最速で、宇宙の法則からしても、光よりも速くすすめるものはありません。光の速度は、秒速30万kmで、地球から月まで、1秒ほどで到達します。光ならロサンゼルスからニューヨークまで、瞬きの間に閃きます。

1%といえば、全然たいしたことのように聞こえませんが、それが光の速度となると別で、光速の1%というのは時速1千万kmにもなります。光速の1%もあれば、ロサンゼルスからニューヨークまで、一秒弱で着くのです。これは、旅客ジェット機のスピードの10,000倍以上のスピードです。

これまでに作られた高速の人工物

ロケット打ち上げ

Photo by SpaceX on Unsplash

弾丸は時速4,200kmで、音速の3倍以上です。最も速い航空機は、NASAのX-3で、最高速度は時速11,200kmです。驚くべき速度ですが、それでも光速の0.001%にすぎません。

最も速い人工物は宇宙船です。地球の重力を振り切るために、ロケットを使って時速40,000kmに到達します。宇宙船の中でも最速は、NASAのパーカー・ソーラー・プローブです。2018年に地球から発射されて、太陽の灼熱の大気をかすめたのですが、太陽の重力を使って時速535,000kmにまで達しました。目もくらむようなスピードですが、それでも光速の0.05%です。

なぜ1%であっても光速に達するのは難しいの?

何が、人類が光速の1%に達する妨げとなっているのでしょうか。一言でいうとエネルギーです。どのような物体であれ動いている物質は、エネルギーを持っています。物理学者はこのエネルギーのことを運動エネルギーと呼びます。速く動くためには、運動エネルギーを増やす必要があります。問題は、速度を上げるためには多くの運動エネルギーがいることです。物体の速度を2倍にするためには、4倍のエネルギーがかかります。3倍にするためには9倍のエネルギーといった感じに倍々に増えます。

例えば、体重が50kgの10代の若者を光速の1%にまで加速するには、200兆ジュールかかります。これはおおよそ、アメリカで200万人が1日に使うエネルギー量と等しくなります。

どこまで速くできるの?

物体を光速の1%にまで加速することは可能ですが、巨大なエネルギーがかかります。人類にはそれが可能なのでしょうか。

答えはイエスです。しかし、技術者たちが、宇宙でものを動かす新しい方法を探しださねばなりません。すべてのロケットは、スペースXやブルー・オリジンの最新のロケットであっても、車のガソリンとは随分異なるロケット燃料を燃やしています。問題は、燃料を燃やすというのは、効率が悪い方法であることです。

宇宙船を動かす他の方法には、電気や磁力を使う方法があります。太陽の源と同じ仕組みの核融合も、化学燃料よりもずっと効率的です。

科学者たちは、速度を上げるために他にも多くの方法を研究していて、スター・トレックで知名度のある光よりも速い移動法であるワープドライブの研究もされています。

より高速で動かすための有望な方法の一つが、ソーラーセイルです。これは、ちょうど風が帆船を動かすような感じで、太陽光によって押し出されるように設計された大きくて薄いプラスチックの膜を宇宙船に取り付けたものです。宇宙船のうちいくつかは、このソーラーセイルが使われていて、機能することが示されました。科学者たちは、ソーラーセイルを使えば高速の10%にまで宇宙船を加速できると考えています。

いつの日か、人類が光速を基準にしたスピードの限界を超えたならば、恒星間移動が可能となるかも知れません。

参考記事: The Conversation

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