地球を観測可能な位置にある近隣の星系は2034個

宇宙人 天文学

コーネル大学とアメリカ自然史博物館の科学者達による研究で、326光年よりも近い距離にある星系の中に、太陽の正面を横切る地球を観察し発見できる場所にあるものが、2034個あることがわかりました。

その内分けは、地球で人類の文明が花咲いた5000年前から、地球を発見できる場所にあった星系が1715個、これから5000年後までの間に発見できる場所へ移動することで加わる星系が319個です。

これらの星系にある系外惑星は、生命を持った地球を鑑賞できる宇宙シアターの最前列に座っていることになると、6月23日号の「Nature」で発表された論文で述べられています。

「系外惑星の視点から見ると、私達は宇宙人です」とは、コーネル大学芸術科学部カール・セーガン研究所の天文学教授リサ・カーテネガー所長です。

宇宙人

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

「わたしたちが知りたかったのは、地球が太陽を横切るのを見るのに、最適な場所にある星はどれかということです。そして、私達の宇宙では星々はダイナミックに動いているので、この最適な場所というのも変わってきます」

カーテネガー教授とアメリカ自然史博物館の上級科学者で「地球をトランジット法による系外惑星として見つけることのできる、過去、現在、未来の星」という論文の共著者である天文物理学者のジャッキー・ファハティ博士は、欧州宇宙機関のGaia計画eDR3で観測された星々の位置と動きのカタログを使って、地球をトランジット法で観測できる領域にどの星が入ってきて、出ていったのか、そしてその期間はどれくらいかを求めました。

「Gaia計画は天の川銀河の正確な地図をもたらしました。それによって私達は時間をさかのぼったり進めたりできるようになり、星々がどこにあって、これからどこに向かうのかがわかるようになりました」とファハティ博士は言います。

1万年に渡る期間を通じて、地球のトランジット領域を通過した星系は2034個で、そのうち117の天体は太陽から100光年以内にあり、さらに75の天体が地球上で商業ラジオ放送が始まった100年前以降にもトランジットゾーンにありました

「私達の太陽の近傍は動的な領域で、地球が太陽を横切るのを見るのに最適な場所に星々が速いペースで出入りしています」

2034個の星系カタログの中には、系外惑星を持つことがわかっている星系が7個あります。これらのどの系外惑星でも、地球を見つける機会が過去未来においてあるのです。それは、地球上で科学者たちがトランジット法を用いて星の軌道を回る系外惑星を何千も見つけているようなものです。

遠くの系外惑星が、その太陽前面を通過するのを観察することで、地球の天文学者たちは、その太陽に照らされた大気を分析できます。もし、系外惑星に知的生命体が居れば、太陽に照らされた地球の大気を観察することで、私達の大気に生命の化学的なサインを見つけることができるでしょう。

星系Ross 128は、主星が赤色矮星でおとめ座に位置し、11光年の距離にある地球サイズ(地球の約1.8倍)の系外惑星を持つ星系として2番めに近いものです。この系外惑星に住む生物がいるとすれば、3057年前から2158年もの間地球が太陽を通過するのを観察することができました。しかし、およそ900年前に最適な場所から外れてしまいました。

トラピスト-1

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星系Trapist-1は、地球から45光年の距離にあり、地球サイズの系外惑星を7つ持っています。そのうち4つは温暖なハビタブルゾーンにあります。私達がTrapist-1の周りに系外惑星を見つけた一方で、1642年前に地球のトランジットゾーンに入るまでは、この星系から地球を見つけることはできませんでした。Trapist-1星系に観測者がいるとすれば、2371年間は、地球を鑑賞できる宇宙のスタジアムシートに座ることができるでしょう。

「私達の解析から、最も近い星であっても地球を観測できる最適な場所には1000年以上いることが普通であることがわかりました。もし、その反対も真であると仮定するなら、数少ない文明が地球を興味深い惑星として特定するには、十分な時間があることになるでしょう」

ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡が今年終わりにも打ち上げられる予定ですが、いくつかの系外惑星のトランジットを詳しく観察して大気を分析し、最終的には生命の兆候を見つける準備をしています。

宇宙の規模と、生命の柔軟性を考えれば、地球だけに生命が存在すると考えるのは無理があります。また、進化における文明の優位性を考えても、進化が知的生命へと向かうことも不思議ではありません。そう考えると、宇宙には地球をすでに発見している文明もあるかもしれないのです。その候補は今回の研究で特定された2034の星系にあるのかもしれません。はたして私達はすでに宇宙人によって観察されているのでしょうか?

参考記事: ScienceDaily

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