エキゾチックマターって何?ワームホールを作れるって本当?

光のトンネル わかる!科学

「マター」というのは、物質です。宇宙を満たしている粒子によってできているものは全て物質です。地球上で、見て触れる全てのものは物質であり、通常3種類の形態を持っています。固体、液体、気体です。その例は、順番に、あなたの座っている椅子、海水、風船を膨らませているヘリウムです。

マターには気体や液体、固体といった、地球上で普通に見られるものとは異なった挙動をするものがあります。そのような、とても奇妙な振る舞いをする物質を、エキゾチックマターと呼びます。

実験室では、ある材料を極低温まで冷やすことである種のエキゾチックマターを作ることができます。極低温まで冷やしたヘリウムが一つの例です。これは「超流動ヘリウム」と呼ばれていて、壁を登ることができます。

超流動ヘリウムの実験。中央の容器に満たされたヘリウムが壁を伝って上昇してあふれ、容器の下で水滴を作っている。

エキゾチックマターがいずれ、宇宙の謎を解き明かす可能性があります。ワームホールを作るための鍵となる物質かもしれません。

時空をねじ曲げる

ワームホールというのは、空間をねじ曲げることで、宇宙にある2点をつなげたものです。ワームホールはまだ見つかっていませんが、もし存在するとすれば、重力の法則に従ったものとなるでしょう。

1687年に、科学者であるアイザック・ニュートンは重力は物体の持つ質量から生まれると発表しました。物体の質量というのは、それが持つ物質の量です。つまり、物体の中に多くの物質が含まれているほど、物体間で引き合う重力が強くなるということです。

1915年、物理学者のアルバート・アインシュタインは、重力を生み出している原因についてのその見方を一変させました。

アインシュタインは、物質は空間をねじ曲げるとしました。動いている物体は、空間の歪みに従って動き、そのことが、重力の効果を生み出しているのです。

たとえば、地球は物質でできていて、周囲の空間を曲げています。地球の周囲で物体が動くと、空間のゆがみに従うため地球上へ落ちてきます。私たちはそれを重力と呼ぶのです。

この物質によって引き起こされた空間の歪みは、時間にも影響します。より空間を曲げるほど、時間はゆっくりと進みます。時間と空間はとても密接に関わっているため、宇宙の働きを研究する際には、時空について話すことが多いです。

ワームホールは時空の歪みが、宇宙の離れた2点の間でトンネルが形成されるようなやり方で形成されます。トンネルが空間に開いている部分を「口」と言います。ワームホールは非常に離れた場所に、2つの口を持っています。トンネルそのものは、「のど」と呼ばれています。

ワームホールを作る

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UnsplashMarek Piwnickiが撮影した写真

ワームホールと関係するようなタイプのエキゾチックマターは、負の質量を持つマターです。私たちが知っている物質は全て、正の質量を持っていて、りんごが地球上に落ちるように、重力によって他の物質に引き寄せられます。負の質量を持つエキゾチックマターは、他の物質を遠ざけます。

物理学者のキップ・ソルン氏は、形成されたワームホールを保つために、負の質量を持つエキゾチックマターが必要であることを提唱しています。負の質量を持つ物質はまだ検出されたことはありませんし、それがどのようなものかわかっていませんが、公式に当てはめられるのもであり、もし存在するならどのように振る舞うかは理解されています。

ワームホールがどのようなものかは説明できますが、どうやって作るのかは、わかりません。なので、エキゾチックマターでワームホールを作ることができるか、わからないのです。

ワームホールは科学者にとっても、SF作家にとっても興味深いものです。というのも、ワームホールが宇宙の遠く離れた領域をつなぐ可能性があるからです。もし存在するなら、宇宙を横切って、非常に遠い場所まで、短時間で旅することができるのです。

参考記事: The Conversation

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