視覚障害者を導く盲導犬は、どうやって飼い主が行きたい場所を知るのでしょうか?実は盲導犬は訓練で教えられた場所しか知りません。
訓練こそが重要です。あなたも学校へ行く道を覚えることで行けるようになったはずです。車を運転する大人も、色んな場所を知っているから迷わずに運転できるのです。
盲導犬は、飼い主となる視覚障害者の身の回りで最もよく利用する場所のいくつかを訓練によって覚えます。家の近くのお店や、近くのバス停などがそうです。
つまり、馴染みの場所への行き帰りの道を訓練によって覚えただけであって、それ以外の道は知らないのです。
多くの人が勘違いしているのですが、盲導犬によって補助されている視覚障害者自身が、どこに向かっているのかをしっかり把握していなければならないのです。
危ない、障害物があるよ!

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なじみの場所への行き方を訓練する前に、盲導犬にはもっと大事な多くの訓練が必要です。なぜなら、補助する視覚障害者の安全を確保することが、どこへ行くかよりもずっと大事だからです。
もし、学校へ通ういつもの道の途中に木の枝が落ちていたらどうでしょう?
小さな枝だった場合、飛び越えることもできます。しかし、大きな枝だった場合はよけるか、あるいは道の向かいの歩道まで渡って迂回するでしょう。
視覚障害者には枝が見えていない可能性があるので、それに気づくためには盲導犬の助けが必要となります。
盲導犬は、邪魔をしている枝の大きさによって対応を変えます。
枝が小さければ、視覚障害者を安全に迂回させるように誘導します。
枝が大きくて簡単に回れない場合は、飼い主の行く手を遮って先に行かせないようにします。そうすることで、なにか大きな障害物があることを知らせるのです。
その枝をどのようにやり過ごすかは、視覚障害者本人の判断になります。
盲導犬の主な役割は、道先に障害物が現れた時に、それを視覚障害者に教えることなのです。

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視覚障害者にとっての障害物とは、歩道から道路へ降りる段差や、店の入口に登る小さな段差も含まれます。
目の見える人が歩行するときには、こういったものは障害物であるとはおそらく思わないでしょう。
一緒に行動するパートナー
多くの人は、視覚障害者が道を渡る時に、安全かどうかを盲導犬が教えていると考えているかもしれません。
しかし、それは正しくありません。
盲導犬は飼い主の進行を止めることで、道への段差に落ちないように助け、それにより飼い主には、道の端っこまで到達したことがわかります。
そのあとの行動を決めるのは人間の方で、周りの音を聞いて道を渡るのが安全であるかどうかを確かめます。
安全に道を渡れることを教えるのは人間の方であり、その逆ではありません。

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飼い主の目となって安全を守る盲導犬。
行きたい場所を飼い主に聞いて、そこまでナビしてくれるようなスーパードッグではありません。
しかし、一緒に苦労して目的地にまで到達する、大事なパートナーであり家族なんです。
参考記事: The Conversation
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