史上最も強力な宇宙望遠鏡が、クリスマス当日、地球から150万km離れた目的地の軌道に向けて、何度もの打ち上げ延期を乗り越えて、ついに打ち上げられました。
30年もの時間と数十億ドルの予算をかけて作られた、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、フランス領ギニアにある、コウロウ宇宙船センターからアリアン5ロケットに乗せられて地球を飛び立ちました。
この宇宙望遠鏡は、宇宙の起源についての深い理解や、太陽系外にある地球に似た惑星についての理解の助けとなる新たな証拠を、データとして地球に届けてくれることが期待されています。
かつてのNASAの長官であるジェイムズ・ウェッブの名前を冠したこの望遠鏡は、伝説的なハッブルの足取りをたどるだけでなく、およそ140億年前の宇宙誕生に更に近づいた宇宙を人類に見せることが期待されています。
ウェッブプロジェクトの共同創設者であるジョン・マザー氏はSNSで、この宇宙望遠鏡の前例のない感度について次のように述べています。
「#JWSTは、月ぐらい離れた場所にいるマルハナバチの熱の痕跡を見ることができるんです。」
このような強力な能力は、宇宙のまさに最初に現れた銀河や、最初に形成された星から何十億年も前に放出されたかすかな光を検出するために必要とされます。
例外的な対策
この望遠鏡は、大きさと複雑さにおいて匹敵するものはありません。
反射鏡の大きさは直径6.5mで、ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡の大きさの3倍にあたり、18枚に別れた六角形の鏡からなります。
その大きさから、ロケットに積み込むには折りたたまなければなりませんでした。
その技術の必要な操作は、NASAによってレーザーで行われ、厳密な隔離法によって、望遠鏡の鏡に対する、接触は微粒子であれ、人間に息でさえ、制限されていました。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、ロケットによって高度120kmに達すると、ロケットの先端を保護していた、フェアリングと呼ばれる部分は、積荷を軽くするために分離して剥がれます。
この段階における、圧力の変化から繊細な機器を保護するため、ロケットを作ったアリアンスペースは、特注の減圧システムを搭載しました。
「例外的な顧客からの例外的な措置です」と、コウロウにいる欧州宇宙機関の職員は述べています。
発射から27分後には、地上のクルーによって、発射の第1ステージが成功したことが確認されました。
目的地までたどり着いた直後には、鏡と、テニスコートの広さのある遮蔽シールドの、完全な展開が難関となります。
これは、ひどく複雑な過程であり、完了に2週間を要し、ウェッブ望遠鏡が正しく機能するためには、1つのミスも許されません。
1990年から地球の上空600kmにあるハッブルの軌道よりもはるか遠くの軌道で展開する予定です。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が乗る軌道は、ラグランジュ2と呼ばれる地点であり、太陽、地球、月に対して太陽シールドの同じ面を向けることができる地点として選ばれました。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が本格的に稼働するのは、6月を予定しています。
参考記事: Science Alert
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