NASAの火星探査ローバー、パーシビアランスが2月18日に、ジェゼロクレーターへのピンポイント着陸に成功しました。ジェゼロクレーターには水の流れる川と三角州が存在していた痕跡があるため、生命も存在していたのではないかと期待されています。
パーシビアランスは重量が1025キログラムと、これまでの火星探査ローバーの中でも最大級のものです。着陸に際して、難しい操作を成功させるたびに信号を地球に送って、その成功を知らせていました。
最後のステージでは、今まで実際に試されたことのない、スカイクレーンを使った方法がとられました。
スラスターで空中に浮かぶロボットクレーンを使ってローバーを吊り降ろすという方法です。
ローバーはケーブルで20メートル吊り降ろされて、ゆっくりと地面に下ろされたのです。
こういった方法が取られたのは、ローバーを確実にジェゼロクレーターに下ろすためです。これまで、火星に送られたローバーは、下ろす場所にそこまでの正確性が必要とされていませんでした。
着陸には7分を要し、地球と火星の通信には15分の遅れがあるため、着陸はすべて、探査機搭載のオートパイロットで行われます。
着陸地点にふさわし場所の選択も、カメラで地表を精査することによって、自動で見つけられているのです。
着陸する間、地球からはそれに干渉することはできないため、ただ、成功を祈ることしかできません。
火星軌道上の衛星を介して、パーシビアランスから成功の信号が届くと、管制室は歓喜に包まれました。

パーシビアランスが撮った火星の風景
credit:NASA
地球外生命体の探索にとって、これは大きな一歩となるでしょう。
水がかつて存在した場所での直接の地質データは、生命が存在できる条件がかつてあったかどうかをより詳しく示してくれるでしょう。
パーシビアラスには、カメラやマイク、湿度計といった基本的な観測機器のほかにも、化学分析のための機器が備わっています。
もしかしたら、生命そのものの痕跡が直接見つかるかもしれません。
岩石上に目に見える形で化石化した残骸などがあれば、容易に見つかる可能性もあります。
また、パーシビアランスは地面を掘って、そのサンプルを、のちに地球へと持ち帰るためのカプセルに詰めるというミッションも行うようになっています。
パーシビアランスは、生命探査の他にもいくつかの別のミッションもあります。
一つは、胴体の下に設置された、ヘリコプターの飛行実験です。

火星のヘリコプター
Credit: NASA
火星は、地球とは重力も大気もことなるため、ヘリコプターが飛べるのかどうかはわかりません。
火星でヘリコプターが使えることがわかれば、今後の火星探査の幅が広がるでしょう。
もう一つは、今後の有人探査に向けて、二酸化炭素の多い火星の大気から酸素を生み出す実験です。
酸素は生命維持に必要になるだけでなく、ロケットの燃焼にも必要になるため、今後、有人探査するためには必要不可欠となります。
パーシビアランスが無事に火星表面に降り立ったことで、火星での生命探索が本格的に始動したことになります。
これから2年間のミッションで、どのような発見を私達に届けてくれるのか、活躍に期待です。
参考記事: LiveScience
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